ピアノソロリサイタル!!??
え?ここで???
いやいや、、、え?マジですか。。。
凄いです、今もなお演奏者殺しと言われる北九州芸術劇場大ホール。
ステージの上もつらいなら、観客席でもつらい。
ここはマイクを通すととてもいい音響なのだが・・・生音は決して良いとは言えない。
ようするに、演劇用。逆に音響の良いコンサートホールでのマイク音は聴けたものではない。
ここで今日、ピアニスト坂本眞理さんがソロリサイタルを開かれた。
ピアノリサイタル自体を聴きに行ったのは久しぶりかもしれない。
しかも日本の音楽ホールは響きがいいところが多いし、ドイツではサロンやお城でのコンサートなどが多く、ヨーロッパの貴族たちが楽しんでいたような絵画でみられるようなサロンでのものが多かった。適当な響きがあって心地よいのだ。
私の住んでいた町ブレーメンでは、適切なコンサート用ホールがあったし、「響かない!?音が飛ばない!?」
なんていう印象を持ったことは、国内外でも、これまでに全くと言っていいほどない。始めの音がポ~ン♪と鳴るとたいてい、その世界へと引き込まれる。
ところが今日は、最初の音を聴いて、正直、「あれれ?まさか弱音ペダル踏んでるのかな?」
と思ってしまいました。それは、やはりホールのせい?だったようです。よくよく聴いてみると音がとても美しくレガートで結ばれている。のに、響いてなくて聴こえない感じがする・・・私の耳がおかしいのかな~ステージの前に幕がかかっているような?という印象を持った。
昔、京都コンサートホールが出来た時も、なんだか同じ様な事を云われていたような。
お話で綴られた今日のこのコンサートは、シンガーソングライターの池端克章さんの司会によるものだった。彼の歌声はとても魅力的で、それこそ、こういうホールでマイクを通して聴くとしびれただろうな~なんて勝手に思ったのであります。
コンサートはベートーベンに始まり、グリーグ、リスト、ショパン、と続き、最後はリスト編曲のシューベルトのセレナーデ。
一番素敵だったのはこの、最後の曲。歌をしているものにとって、こういう歌の旋律が主旋律となって流れる曲はたいてい欲求不満がつのる。しかし、すっきり聴けた。それどころか、こういう風に歌えればな~と思ったほど。プログラム最後になってどんどん引きこまれていく自分・・・(笑)
アンコールは2~3曲。
中でも「さくら」を編曲されたのが素敵だった。エリーゼの為に、月光、幻想即興曲、などがちらちら顔を出す。
リサイタルの成功はお客さんが
「もっと聴きたい!!!」
と思ったところで終われるかどうか。だと思う。
今日はまさにそれでした!
軽快な指の動きで音がきらきらとして、何と言っても旋律のラインが美しい。スラ―がかかった後の音が何とも美しい☆
「なんというかフレーズの最後の音が水面に着地して滑って行く・・・」
とでもいいましょうか。和音で移動するアルぺジョなんかはまさに技術あってのものだった。
指が50本以上あるんじゃないか?と思うほどの音のダンス。
全体的な印象は、どの曲も旋律が完璧に浮き出ていて、それを邪魔する音が何もない。上手く引きたてられていて聴いていてとても説得力あるものだった。
トリルや、装飾音符はきらきらと入ってくるし、ピアニッシモでも旋律のレガートが素晴らしい。 ペダルテクニックが器用なところから頭のいい演奏をされるな~と言う印象をもった。
個人的にはもう少し音響の良いホールでその感動に浸りたい、と言う感じでしたが・・・
どうしても高音の響きが届かなくて、でもそれも全体的な曲の作りでカバーされていたと思う。お客さんを乗せて行くテクニックや、コンサートの構成、など学ぶ点がとても多い素敵なコンサートでした。
休憩時間のシャンパンも凄く美味しくて・・・^0^
私も、ドイツから帰国し、日本で活動を再開して3年。この3年に学んだことはかなり大きい。
それを生かした第15回目のソロリサイタルに向けて、ますます気持ちが高まってくるのを覚えた今日のコンサートでした。
リサイタルというのは実力と技術だけで作るものではないということを今日改めて実感したのでした。それだけなら自分のレッスン室でやればいい、ですものね。