悲しくなったら海をみに行く。
古本屋の帰りに、あなたが病気な時に、こころ貧しい朝に。
海を見に行く。
海よ、
大きな肩と広い胸よ
おまえはもっと悲しい、お前の悲しみに私の暮らしは洗われる。
どんなつらい朝もどんなむごい夜もいつかは終わる。
人生はいつか終わるから・・・
だが海だけは終わらない。
・・・私が一番好きな日本歌曲だ。
3月11日に東日本大震災が突然人々を地獄へ突き落した。
どどどど===っと海が人を飲みこむ。
あっという間に消えてしまった多くの人の人生。
もしかしたら、飲みこんだ海は飲みこまれた人間よりもっと悲しく、その悲しみは人間よりもっと深いのかもしれない。
7月16日に「夏の夜の夢コンサート」で歌う寺山修二作詞、 中田喜直 作曲 「悲しくなったときは」。
この歌には、とてつもない深さがある。
この海は「心の海」でもあるかもしれない。
人生なんていつか終わる。例外なしに。
だけど海は終わらない。ここにどんなにあがいても、とうてい勝てっこない人間の海への憧れがある。
日本人としてのこころを直接歌にすることのできる日本歌曲。
16日、久しぶりにその機会に恵まれることを嬉しく思っている。